第5章 胸部外科医
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及川「えっ!あれ、スガくんじゃん!!てか、あの麻酔医の子って....。」
黒尾「やっちゃんか。」
牛島「....。」
及川「初めてだったのかな。自覚的簡単な手術に見えるけど。麻酔に失敗するのは...まずい気がするけど。」
「ふう、ああ、すみません。県集中なのに。」
黒尾「あの女の子って。」
「大学病院の生徒。いま、研修中なんです。成績優秀だと聞いていたけど。勉強の成績だけだったみたいです。」
谷地仁花....。
及川「天は二物を与えず....って感じ。」
黒尾「あんた、麻酔科医だったのか?」
「いや、もと麻酔科医でした。まぁ、いろいろあって胸部外科のほうに。」
パパが胸部外科医と結婚しろといったから、胸部外科医の大変さを知ろうと思って。
なんて、口が裂けてもいえない。
黒尾「やっちゃんが、天に二物を与えられなかった者ならば、アンタは、天賦の才か?(笑)」
「それは違いますよ...。」
天賦の才を受けた人間が、手術で人を死なすなどしない。
私はそんなにキレイな医者じゃない。
黒尾「そりゃ、謙遜しすぎだぜ?(笑)」
「....さ、研修中でしたね。次、行きましょうか。」