第3章 手探りの関係
抱きしめられた腕の中で私は
ただ時間が止まればいいのにと願った。
夢なら覚めるな!!
気の迷いなら…ずっと迷ってろ!!
そんなバカなことを考えて
必死にすばるくんの服を掴んだ……
でもそんな幸せな時間が
いつまでも続くわけもなく…
急にすばるくんは私から体を離して
「あかんわ(笑)
これ以上はあかん!
とりあえず家まで送るから
今日はもう帰れ……」
そう言うと
少し私から離れて背中を向ける……
そんな少し遠い背中を見つめながら
私は現実を思い知るんだ。
ストーカーにアイドルが
恋なんてするわけないんだと…。
抱きしめられても
キスをしたとしても
夢は夢で…
気の迷いはいつか覚めるときがくる……。
それでも今
すばるくんは背中を向けたまま
私に手を伸ばしてくれるから…
この手に触れらるだけで
少しでも側にいられるだけで
私は十分幸せです。