第66章 真実*茶倉
「俺からの話はこれで全部だ。」
とその言葉で締めくくられた。
血液が沸騰してしまうのではないかというくらい、鼓動が、血の流れが速い。
「じゃあ病室で春音さんに言ってたのは…」
「こういう事だ。」
どうしよう…
色々なことが起きすぎて纏まらない。
言葉にしようにも今の気持ちを表す言葉がない。
複雑な気持ちはどうすればいいのだろうか。
俯いて唇を噛み締める。
「泣いていいのだよ。」
声が降ってくる。
思わず顔を上げた。
「泣きたいなら泣いていいのだよ。」
それはずるいよ…
「うっ……っ!」
涙が溢れてくる。
止まらない。
「我慢しなくていいぜ。」
「泣けるときに泣いておけ。」
過去や真実と向き合った精神的疲労や心に引っかかっていた気持ちは涙に変わる。
その涙は溢れて流れる。
流れた涙は私の心を潤してくれる。
ああ、私はずっと泣きたかったんだ。
余計なことを考えず、泣きたかったんだ。
泣き崩れる私を、和くんは後ろから支えてくれて、真くんは優しく微笑み、千秋はまるで亮さんのように、青く広がる空を眺めていた。
私にとってこの真実は良かったのか悪かったのか。
でもどちらにしろ亮さんの言葉は私や千秋、そして読者の中で生き続けていくのだろう。
その事実は過去も現在も、そして未来も変わらない。
私はそう信じられる。