第63章 仕事仲間*黄瀬
「助けた人ってどんな人なんすか?」
「………」
千秋っちが黙る。
黙ったときは基本的に考えてるときッス。
オレも黙って待った。
「…俺が前から会いたいと思ってた奴。」
「!?」
え、今…
「千秋っちが笑った?!」
信じられなくて叫んでしまった。
スタッフさんたちも驚いたようにこちらを見る。
注目を集めた千秋っちはいつも通りの無表情に戻っていた。
「千秋っち、笑った方がいいッスよ!」
「…生憎だが、表情筋の動かし方がわからない。」
つまり、今のは無意識に笑ったってこと。
その人のこと益々気になるッス!
「千秋、撮影始めるよ。」
スタッフさんから声をかけられ、千秋っちがスタジオへ向かう。
やっぱり、千秋っちって面白いッスね!
後ろ姿を見て、実感した。