第62章 笑顔と愛*高尾
「失礼します。」
病室に見知らぬ男が入ってくる。
「あら、千秋ちゃんいらっしゃい。」
春音さんが千秋と呼ばれた人物に手を振る。
(…誰だ?………どっかで見たような気もするんだけど…?)
オレは疑問の答えを探して、真ちゃんを見る。
が真ちゃん、全くわかっちゃいねぇ。
(誰なのだよ!って顔に書いてあるぜ……笑える…!)
笑いを堪えていると、あっちから声をかけた。
「…春音さん、この2人は誰ですか?」
切れ長の目が訝しげにこちらを見てくる。
「こっちは和ちゃん。」
春音さんがこちらを指すので、あいつに向かって笑いかける。
「高尾和也ですっ☆」
「で、こっちが真ちゃん。」
「緑間真太郎なのだよ。」
「…で、あの子は千秋ちゃん。……白井千秋ちゃんよ。」
「………」
特に何を言うわけではなく、千秋ちゃんはこちらを見ていた。
(なーんか、引っかかるんだよなぁ?)