第60章 今の気持ち*緑間
「…ありがとうっ!」
安堵したように息をついた。
「紅子先輩に言われたの。…1人で悩むより素直な気持ちを伝えろって。そうしなきゃみんなを傷つけるだけだって。…もっと早くそれに気づければ良かったなぁ。」
えへへっと笑う茶倉を見て、高尾が吹き出した。
「ハハッ!優ちゃんがそんなに悩んでるなんてな!こっちが早く気づければ良かったぜ…!」
ぽんっと高尾の手が茶倉の頭に乗る。
「今度からはちゃんと素直な気持ちを伝えてくれよ。」
俺は茶倉の肩に手を乗せる。
「ふっ…これからもよろしくなのだよ。」
「…うんっ!」
その笑顔はとても眩しかった。
用事があるといって茶倉が帰った後、俺たちだけが残された。
「ねぇ…真ちゃん。」
「なんだ。」
「優ちゃんってさ……鈍感なだけ?それとも小悪魔系だったの?」
「…さぁな。」
少なくとも中学時代から変わったとは思う。
「久しぶりに一緒に帰ろうぜ。」
「ああ。」
今はこのままで。
…そう思っても『今』は続かない。