第59章 素直な気持ち*橘
優は話してくれた。
自分の能力のこと。
記憶を失った過去のこと。
中学の頃のこと。
そこでバスケと出会ったこと。
そこから月日が流れ、秀徳に来たこと。
夏合宿の時に、3人に告白されたこと。
(私のみる限り他にも好意を持っている人はいると思うけど。)
その気持ちに対してどうすればいいかわからないこと。
あたしの知らないことばかりだった。
「私には……好きって気持ちがわからないんです……。私が誰が好きなのか……逆に私のどんなところで好きになったのかも……」
そこまで言うと優は口をつぐんだ。
どうやら言いたいことは言い切ったようだ。