第58章 風邪。*茶倉
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時間が過ぎるのは早いもので、いつの間にか夜になっていた。
(ちゃんと決めなきゃ。)
私がしっかりと選べば解決できるはず。
…それ以外ないんだ。
(でも私はどっちが好きなんだろう。)
その問の答えは出ない。
疲れ果てたその時、バイブ音が聞こえた。
『紅子先輩』
差出人を見て、合交じるはずのない安堵感と緊張感を両方感じた。
『体調大丈夫?
私でよかったら話聞くからね!』
たった二行。
でもこの二行に紅子先輩の優しさを感じた。
また涙がこぼれそうになる。
ぼやける視界の中、スマホを操作した。
『明日、学校に行きます。』
それだけ打って送る。
まだ話すかはわからない。
でも逃げ続けても進めないってわかったから。