第55章 嵐の前の静けさ*高尾*緑間
「……ああ。だが、茶倉には届かなかった。」
俺は正直に言った。
隠す必要はないと思ったからだ。
「なんでそう思ったんだよ?」
こいつ、何でそんなことまで聞くんだ?
「……波の音で聞こえなかったと言われてのだよ。」
「あー、それ多分嘘だぜ?」
(!?)
「なぜ……なぜそう思う……?!」
思わず聞き返していた。
「オレ、見ちまったんだ。……あの日、優ちゃんが赤い顔で浜辺から走ってくるところを。」
「…っ?!」
「最初は理由、わかんなかったんだけどさ…真ちゃんの話を聞いたら全部繋がったんだ。」
(あの言葉が……届いていた、だと…?)
信じられなかった。
俺の気持ちは、茶倉に……