第38章 試合の行方*茶倉
和くんのパスが真くんに通る。
みんな不意をつかれて、真くんを止められる距離にいるのはもう跳べない火神くんだけ。
真くんがシュートの体勢に入る。
「とどけぇぇぇ!!」
(!?)
跳んだ!でも…大丈夫!!
『追い詰められたら火神くんは二回以上跳べるはずです!』
それが私が言ったもう一つのこと。
(真くんなら…!)
私の思い通り、真くんは一度ボールを下げた。
(行ける…!)
きっと皆確信しただろう。
こんな場面でそんなことするなんて思ってないはずだから。
「信じてました。火神くんなら跳べると。…そしてそれを信じた緑間くんがもう一度ボールを下げると。」
(…テツくん!?)
動いた!?
「真くんっ!」
気づいたときにはもう遅かった。
バンっ!
ボールの落ちる音。そして。
ピィーっ!
試合終了の合図。
…負けた?
負けたの…?