第29章 明かされる過去~前編~*茶倉
私の左手は真くんのテーピングの巻かれた左手に捕まる。
力が違う。外せない。
「真くん…!?」
「迷惑ではないのだよ。…むしろほかの奴らが知らないことを知れて良かったのだよ。」
(っ!)
「そうだな!…なあ優ちゃん。辛いこと話してくれてありがとな☆」
和くんも私の右手を握る。
…2人ともなんて優しいんだろう。
あの日あの人が言っていた言葉を思い出した。
『人を助けられる人間になってほしい!』
なります。みんなのように…!
誇れる自分になる!
そしてあなたに会って、喜んでもらいたい。
助けて良かったと思ってほしいんです!
「ありがとう…!」
私は2人に支えられるように泣いた。
あんなにも泣いたのに、涙は止まらないみたいだ。
まだまだ弱いなぁ。
泣き疲れたのか急に睡魔に襲われる。
そのまま、眠ってしまった。