第5章 夫婦漫才とハロウィン〔百〕
見事にピッタリ。ユキが弥澪と仲良くしているとちょーっと嫉妬するけど、オレにはちゃんと恋人としての権利があるから、ユキに負けることはない。
絶対!
「そうだ、千くんにお話があるんでした」
マネージャーがユキを連れて椅子に腰かけた。
どうやら別の仕事に関してらしい。
そこでオレはふと思いついた。
「弥澪、オレお菓子は持ってないけど、代わりに甘いものならあげられるよ」
「……どういうこと?」
不思議そうに首をかしげる弥澪の帽子を取り、ユキたちから見えないようにオレらの顔を隠す。
そしてそのまま弥澪の唇にキスをした。
しばらくそのままでいると、ユキが声をかけてきた。
「モモ、今度の仕事の話なんだけどさ」
「なーに?モモちゃん頑張っちゃうよー?」
何事もなかったかのように顔を上げてそう答える。
弥澪に視線を戻すと、彼女は真っ赤になっていた。
「ね?甘かったでしょ?」
「っ〜!」
そう、これがオレだけの特権。
「お菓子じゃないけど一応甘いものあげたんだから、オレに悪戯はやめてね。ユキにならガッツリやっていいけどさ!」
「……モモ、なにかあげたのか?」
「あげたよ。あまーいものをね」
にっかりと笑って帽子を弥澪の頭に被せる。
すると弥澪はその端を握りしめて顔を覆い隠してしまった。
(やっぱり可愛い!)
ついついそんな風に思っちゃうオレって、やっぱり弥澪が大好きなんだ。
だから弥澪といることがウルトラハッピーって、いつもそう思うんだ。
〜終わり〜