• テキストサイズ

アイナナ~当たり前すぎる日常〜

第1章 ★とりっくおあとりーと〔一織〕



一年に一度行われる盛大な仮装イベント。
家々を練り歩き、お菓子を貰う。
掛け声はもちろん『Trick or Treat』。

そう、ハロウィンだ。
私の勤める小鳥遊事務所でもハロウィンイベントをしようと数ヶ月前から盛り上がっていた。



「そんなもの、一体何が楽しいんですか」



たった一人を除いて。



「大体、ハロウィンはアメリカの民間行事です。わざわざ日本人である私たちが楽しむ理由がどこにありますか」



そう正論付けているのはアイドリッシュセブンの中でも一際クールな雰囲気を醸し出す一織くん。



「そんなこと言うなよ〜。仮装してお菓子もらって、楽しいじゃん!」



センターの陸くんが目を輝かせて一織くんに詰め寄ると、彼はこれまた平然とした様子で切り返した。



「そんなことで楽しいだなんて、七瀬さんは子供ですね」



出た、一織くんの毒舌。年上相手にまったくブレない。

彼の恋人になった私は何度もその毒舌を受けたことがあるけれど、陸くんも相当な回数の毒舌を受けていると思う。

案の定それに喚いた陸くん。そして壮五さんが二人を仲裁。
よく見る光景に思わず笑ってしまった。



「……何がおかしいんですか」

「ううん、一織くんと陸くんは仲良しだなーって」

「これのどこが仲良く見えるんですか」

「一織可愛くないっ!」

「なっ……!」



陸くん、一織くんに100ダメージ。



「リク〜もっと言ってやれ〜」



陸くんの後方で大和さんがそう声をかける。

いや、催促してないで止めてくださいよ。あなた一応リーダーですよね。



「まぁまぁ、落ち着けって一織。オレだってハロウィンは楽しみなんだぜ?」

「ミツキには魔女の仮装をオススメしまース!」

「なんで魔女なんだよ!しかもその衣装ガッツリ女物だし!」



衣装を片手にナギさんが三月さんにせめ寄る。それに対して突っ込むことを忘れない三月さん。



「兄さん……きっと似合うと思いますよ」

「ヤメロ一織。それは俺のプライドが許さないから」

「い、一織のブラコン!!」

「は!?」



陸くん、一織くんに150ダメージ。
……って、違う違う。

/ 101ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp