第1章 食事から
「高野ちゃんがオシャレして来てくれて嬉しいって言いたかったんだ。」
少し気恥ずかしくなった。
「女の子がオシャレしてきてくれたら、嬉しいもんなんですか?」
「そりゃあ嬉しいよ。」
岩本さんは柔らかく微笑んだ。
「今日の高野ちゃんは一段と可愛いよ。」
その笑顔は可愛いというよりかっこよく、胸が高鳴ったと認めざるを得なかった。
決めゼリフ、なんだろうか。
「口がお上手ですね。」
さらっとかわすと、岩本さんの笑顔が一瞬だけ崩れた。
すぐに立て直された笑顔は、残念といった感じ。
「高野ちゃんほどじゃないよ。」
岩本さんも言葉をはぐらかした。