第4章 それでも
ガンッ!!
鈍い金属音が響いた。
岩本さんが、驚いた顔してあたしの手元を見ていた。
「あっ・・・。」
握った両手が、金属製の柵を叩き付けていた。
音の大きさに自分でびっくりして、両手を引っ込める。
「ごめんなさいっ!」
あははっと笑って、まだ響いている柵を握って振動を押さえ込む。
笑ってすませたかったけれど、笑えていないのは自分でも分かっていた。
耐えられなかった。
言葉を強制的に押さえ込まれて。
全てを理解されてしまって。
表面上でしか生きていない自分を見せつけられて。
泣いてしまいそうな自分が、許せなかった。