第3章 理解され
「弱い自分が許せないんだろうね。」
高野ちゃんの理想は高いところにあって、それはきっと全人類の理想型。
でも現実の自分は当然そんなところに届くはず無くて。
もっといい人間にならなきゃ。
強くならなきゃ。
あれもこれも全て出来る、素晴らしい人間に。
その思いが強すぎて、頑張って、頑張って、誰にも甘えられずにいる。
甘えたら理想から遠ざかるから。
「でもだからこそ、人間が弱いことを知ってるから、優しく笑顔で他人と接する事が出来る。」
自分のようになって欲しく無いから。
人間誰しも助けを求めている事を知っているから。
笑顔を振りまいて、手を差し出して。
人の悲しみや苦労まで、全部背負い込んでしまおうとしている。
自分を愛する分まで、他人を愛せる人だから。
俺もそんな高野ちゃんに助けられた1人。
付き合う事で助けられようとしている1人。
「ごめん。」
たくさん背負ってる君にもたれかかろうとして。
強い人だなんて、突き放すような決めつけをして。