第3章 理解され
「俺、高野ちゃんの言うように、馬鹿だったよ。」
「・・・急にどうしたんですか?」
追いつめられて、あたしの喉からは小さな声しか出ない。
「あのね、怒らないで聞いて欲しいんだけど。」
「じゃあ怒りますね。」
「そうやって冗談ではぐらかそうとしないの。」
優しくたしなめられて、仕方なく黙る。
「高野ちゃんって、頑張り屋さんで、強くたくましい人だと思ってたんだ。」
・・・何が言いたいというの?
言葉を発する事を禁じられたあたしは、ぎゅっと手を握る事しか出来なかった。
「でも違った。本当の君は弱くて、だからこそ誰より優しい。」
ぎゅっと握った手の関節から、骨が白く浮き上がるのが見えた。