第13章 自分の気持ち*
多分まりなさんが気を使って桜っちと二人きりにしてくれた。そうゆう所はホント抜け目ないって言うか…感謝してるっスよ。
「桜っち。そんな離れてると濡れるっスよ?」
「大丈夫!私全然平気だから!」
「平気じゃないっしょ?もっとこっち来て?」
桜っちは無言のまま静かに少しだけ俺の方に寄ってきた。氷室の事気にしてるのか桜っちが下を向いて表情が見えないからわからない。
「あの…さっきはごめんね?変なもの見せちゃって…」
「変なもの?」
「その…辰也との…」
「キスされてたやつっスか?」
「う、うん…。日本だとあんなスキンシップ普通しないもんね?アメリカにいた頃はまだ小さかったからよくわかんなかったけど今はあんなの人までやるなんてダメだよね。」
「人前じゃなかったら良いんスか?」
「えっ?」
「二人きりだったら良かったの?」
声が震える。イライラを桜っちに当てるのは間違いだ…そんなのわかってるけどさっきの氷室に抱き寄せられてる光景を思い出すだけで腸が煮えくりかえる思いだ。
「そ、そんな事ないよ!!嫌に決まってるでしょ!だって黄瀬君に…あっ。」
「だって俺に?なんすか?」
「なんでもない…」
「ダーメ桜っち?何?ちゃんと言って?こっち向いて?」
自分でもわかるくらいさっきまでとは声のトーンが違う。だって桜っちの方を見ると耳が赤くなってるのがわかる。自分の怒りが小さくなっていく。わざと桜っちをこっちに向かせると顔が真っ赤になってる…その顔。俺弱いんスよ?
「黄瀬君にだけは…見られたくなかった…」
俺はその言葉を聞くと傘を持っていない反対の手で桜っちを抱き寄せた。