第12章 インターハイと誕生日2*
二人で外の空気を吸いに出た…桜っちを呼んだのに理由なんてない。ただ側にいてほしかっただけ。何かを喋るわけでもない…桜っちは、いつだって黙って隣にいてくれる。無理に励ましたりとかしない。それは俺にとったらスゲー居心地が良い。
「えっ!!黒子君?!!」
隣にいる桜っちの口から思いがけない人の名前が出た。横を向くと…頭に犬を乗せた黒子っちが立っている。
「どうも。」
「黒子っちぃぃぃぃ!!!?」
黄瀬君と黒子君は試合の事について話始めた、黒子君はどちらが勝つかはわからないと言っていた、それは私にもわからないが…海常に勝ってほしい。
「まぁ…せいぜい頑張るっスわ…」
「…てっきり絶対勝つっス!とか言うと思ってました…」
黄瀬君と黒子君の会話に張り詰めていた空気が少しだけ緩んだ、でもそれはほんの一瞬だけ。
「フッ。それはもちろんそのつもりなんスけど…正直自分でもわからないっス。中学の時は勝つ試合が当たり前だったけど……勝てるかどうかわからない今のほうが、
気持ちいいんス…」
黄瀬君の横顔、その言葉、その瞳に…
私の心は、一気に持っていかれた…
言葉では表せない。カッコイイとか綺麗とかそんなんじゃない。
こんなにも胸が熱くなって…自分でも少し怖くなる。
そして最後のトドメかのように…満面の笑みで私を呼んだ。
「桜っち!戻るっスよ!」
「ハ、ハイ!!黒子君。またね!」
「はい。ではまた。」
黒子君と別れて黄瀬君と二人になる。まだ胸が熱いままだ…
でもそれは会場に入ると自然に落ち着いていき、冷静さを取り戻させる。インターハイが終わるまでは…この気持ちに気づきたくない。
そして第3Qが始まろうとしていた…
「桜っち…俺に気合い入れて?」
「えっ…うん。じゃあ後ろ向いて?」
私は、そっと黄瀬君の背中に手を置いた。
「何も心配してないよ?何があろうが、海常のエースは黄瀬涼太だから。それにここには、頼っちゃいけない人なんて一人もいない。だから迷わずやれ!行ってこい!」
「ウッス!!!」