第10章 大事な存在*
そんな事言われると調子狂うっスよ…桜っち、わかってるのかな?いや、わかってないだろうな。でも俺も桜っちともう少し一緒にいたかっし桜っちのバスケも見ていたかったから…
「ねぇ…黄瀬君シュートして?ダンクじゃなくて…セットシュート。」
「セットシュートっスか?いいっスよ。」
セットシュートは、フリースローみたいにジャンプをしないで打つシュート。基本的試合ではフリースロー以外は使わない。地味だしリズムがないから意外に難しいシュートだ。やっぱ桜っちは変スよ。普通女の子だったらダンクとか見たほうが喜ぶのに…
ーーシュ。
黄瀬君が打ったシュートはゴールに吸い込まれるように綺麗に入った。練習を沢山している証拠だろう。シュートを打ってる横顔が本当にかっこいいと思える…バスケをしてる時のあの真剣な目とかコートに入った時の熱量とか、その姿を見てるとクラクラしてくる。
「桜っち…そんなに見つめられたら照れるっスよ」
「あっ。ごめんね…つい…その…かっこいいなと思っちゃって。」
「えっ!!?」
「ほんのちょっとだけね!バスケしてるからそう思っただけだから!」
何を急に言いだしたか思ったらかっこいいとか…しかも言った事に照れてるのか少し顔が赤くなってるし。言い訳してる。アハハ…可愛いすぎっしょ?カッコイイなんて言い慣れてるのに、桜っちに言われると…もの凄く価値がある気がする。もっとかっこいいって言って?桜っちが見つめてくれてるこの時間がずっと続けば良いのに…桜っちの特別になりたいっスよ。でも桜っちの特別はタツヤって奴なんスかね?好きなんスか?やっぱ知りたい…
桜っち聞いても良い?
俺に教えて?
「桜っち…タツヤって奴の事好きなんスか?」