第10章 大事な存在*
「えっ!?辰也の事好きだけど…」
「男して好きなんスか?」
なんで黄瀬君はいきなりそんな事を聞いてくるんだろう?辰也の好きは…そうゆう好きじゃない。少なからず昔は、辰也に恋をしていたのかもしれないけど、よくわからぬまま私は日本に帰ってきてしまったし、たまにアメリカに行ったりはしてても辰也には、たまにしか会えなかった。でも今の私は辰也には恋はしてない。黄瀬君には勘違いしてほしくないと思う。
「辰也はお兄ちゃんとして好き…」
「そっか…じゃあ桜っちは今好きな人いる?」
「いないかな…?黄瀬君は?」
「いるっスよ…」
「そうなんだ…」
一瞬胸が締め付けられるんじゃないかと思うくらい苦しくなった。なんで私こんなにガッカリしてるんだろう?わかんない。黄瀬君好きな人いるんだ…きっと瀬戸さんなのかな?瀬戸さん可愛いし、私とは全然違う。嫌だ…形容できないこの気持ちは何?まりなや海常のバスケ部の皆、大我や黒子君達…皆の事が好き。でも黄瀬君の事が好きな気持ちは皆とは違う。でもまだこの気持ちが恋なのかよくわからない…昔、辰也に恋をしていたんじゃないかと思ってた。でもその気持ちとも似てない同じじゃない。
「黄瀬君の好きな人ってどんな人?」
「ん〜負けず嫌いで強くてカッコイイんスよ。でも弱い所もあって守りたいと思う…誰よりも優しくて可愛い人なんス…」
「そっか…凄く好きなんだね。」
「そうっスね…一番大事な人っすね…」
一番大事な人か…その人は幸せだろうな。こんなに思われてて…
「俺にとって…桜っちは、大事な人っスよ」
「えっ?ありがとう。私も黄瀬君が大事だよ。」
その大事は、他の人を大事って思う気持ちとは違うっスよ。でも桜っちは…全然気づいてない。本当にこうゆう所は信じられないくらい鈍いっスよ。漫画の主人公みたい。まぁそんな所も好きなんスけどね…
「黄瀬君の想いがその人に伝わると良いね…」
「そうっスね…」
俺はちゃんと伝えたつもりなんすけど…これじゃダメっスね。桜っちにはわかるように伝えないと。それはもう少し我慢するっスよ。もうちょっと俺を知ってほしいから。