第8章 正反対*
最近よく俺の所に瀬戸さんが来る。話も面白いし結構趣味も合うんスよね〜今日も休み時間俺の好きな歌手のCDを持ってきてくれた。
「黄瀬くん!!これ言ってたの持ってきたよ!」
「サンキュー!これめっちゃ良いんスよね〜」
瀬戸さんと、話しをしてたけど途中から隣にいる橘達の話が気になって仕方なかった。
「なぁなぁ!神白と矢野どっちが良いと思う?ちなみに俺は神白〜」
「矢野だろ〜!橘は?」
「ん?俺は、もともと神白が好きだからー」
矢野さんがモテるのは、ケッコー知ってた、告られてるのとか目撃した事もあるし、でも桜っちもなんスね…その瞬間自分の中に苛立ちが芽生えて来たのがわかった。
「おっと!タイミング良い!俺ちょっと神白の所行ってくるわ!」
教室から出て行った桜っちを追いかけるように橘が出て行く。
「ごめん!瀬戸さん!ちょっと俺、用事思い出したっス!CDありがと!今度返すね!じゃあ」
「えっ?あっ…うん。」
急にそんな事言ったから瀬戸さんは、戸惑っていたけれど、今は桜っちの事が気になる。
なんで俺追いかけてるんスか?わかんないけどダメだ!何かするわけじゃないし何もする権利ないけど。足が勝手に動いちゃったんス…
桜っちだ!見つけた!すでに桜っちは、腕を掴まれてた!今助けるから…そう思った。
「その手を離せ。」
俺が助ける前に笠松先輩が、桜っちの手を取って自分の後に隠すようにしていた。まるで大事な物を扱うように。
「アハハ…俺が来る意味なかったみたいっスね…」
俺は何も言えずに何もできずにその場から離れるしかできなかった。