第6章 久々の再会*
私がさっき黒子君に気づいて皆がビックリした意味がなんとなくわかった気がする。黒子君は、気配がないんだ。多分普通の人は気づかない。でも私には見える。
「黒子君はミスディレクションを使ってるんだと思いますよ。いわゆる視線誘導をしてるんです。でもあれは40分フルには使えないはずです。」
「桜っち…なんでわかるんスか?」
「見えたから…」
今俺が言おうとしてた事そのまま全部言われた。まだ始まって5分しか経ってないのに、なんでわかるんスか?一体アンタの目には、何が見えてるんだ?俺には、さっぱりッスよ。それでも桜っちはまだ不安な顔してるし…なんなんだよ。大丈夫ッスよ。勝つから。
「でも…成凛の監督さんもこれで終わりなわけありません、あの人は相当できる人です。かならず何かしら仕掛けてくるはずです。」
「わかった。よし!お前ら気合いは良いな!一本しっかり決めるぞ!」
「「「おう!!!」」」
やっぱり笠松先輩の一言で皆凄く気合いが入ってる。頑張って…私もしっかり応援しないと。
「桜っち!そーんな不安な顔してるとこっちまで不安になるっスよ!ほーら!笑って笑って!」
「えっ…うん。ごめんね!そうだよね。頑張って!行ってらっしゃい。」
「ウッス!行ってくるっス!」
皆がコートの中に入っていく。
「俺女の子にはあんまッスけど…バスケでお返し忘れた事はないんスわ。」
あぁーあ。黄瀬君…大我にあんな事言って。バスケの事になると本当に人変わっちゃうんだから、でも…お返ししてこい!!
さっき思ってた私の嫌な予感は当たってしまった…試合中黄瀬君の手が黒子君の目に当たって怪我をして途中交代。でも第4Qからまた黒子くんが入ってきてからは、どんどん点差が詰まってきた。
そして同点…その瞬間…黄瀬君が変わった。ここにきて凄いスピード。信じられない…体力だってもう尽きてきてるはずなのにどんどん強くなってる。
ここからラン&ガンが続いた…
あと5秒…3.2.1。
ピーーーー。
終わった。最後…大我にブザービートを決められて。
海常は負けてしまった。