第5章 前に進む*
いや〜その笑顔反則ッスよ…
そーいえば初めて俺にそんな笑顔見せてくれた。
こんなんじゃ目逸らせられないッス。
照れてるのかな?微かに頬がピンク色に染まってる気がする。
あーかわいっ…て思っちゃった。
バスケ全然できなさそうなのに、あんな綺麗なフォームで軽くシュート決めちゃって、わけわかんないッスよ。
一体アンタは何もんなんスか?
神白さん…いや、桜っち。
「桜っち!そーいえばまりなさんと喧嘩でもしたんスか?」
「喧嘩ってほどでもないけど…それより何?桜っちて?」
「あー、俺尊敬する人の事は○○っちって呼ぶの!」
「私尊敬させるような事してないんですけど…?」
「あの綺麗なシュートフォームを見て尊敬したんスよ!!」
「はぁ…?」
やっぱり黄瀬くんはちょっと変。
私なんかをマネージャーに勧誘するし、尊敬する人とか言っちゃうし…
でも…綺麗って言ってくれたのは、本当に嬉しかった。
「なんか心配かけちゃったみたいでごめんね。まりなとは、ちゃんと話すから大丈夫!わざわざありがとう。」
「どーいたしまして、でも!あんま無理しちゃダメっスよ?なんかあったら言って?」
スッと伸びてきた手…黄瀬くんが私の頭をポンポンしてきた。
うわぁ大きい手…なんか包み込まれてるかのように少しホッとする。ん?私なんか安心してないか?
いや、違う違う。安心なんかしてない。
しかも…
「やっぱチャラいな…」
「ん?なんか言ったスか?」
良かった聞こえてなくて。
「なんもないよー!ほんとありがとう!じゃあ私行くね!」
頭ポンポンされるのなんてお兄ちゃんくらいしかいないから、びっくりした…男の人って皆あんな感じなのかな?
この高揚した気持ちをなんとか抑えつつ体育館を後にした。