第5章 前に進む*
わけもわからず体育館に来てしまった。ボールを持つと体が勝手にバスケを初めていた。
この感覚。凄く気持ちが良い。
ーーシュッ…
やっぱゴールが入ると嬉しいなぁ。
なんでだろう。バスケがなければあんな事にならなかったのかもしれないのに…結局心から嫌いになれない。でもやっぱバスケをしてると思い出して凄く辛い…
「神白さ〜ん。」
「黄瀬く…ん。」
「すごっ!今のシュート超綺麗ッスね…」
「別にそんな事ないよ。」
「あるッス!俺が知ってる限りではこんな綺麗にシュート決める人、二人だけッス」
「二人?」
「キセキの世代の緑間っち。キセキの世代って五人いるんスよ〜その中の一人でシュートフォームが凄い綺麗なんス。しかも成功率は100%なんスよ」
100%!!?いやいや。そんな凄い人と一緒にされたら困るし。一緒にされてる人もかわいそうだよ。【キセキの世代】一体どんなバスケをするんだろう。100%なんてプロでも無理だと思う。
「私はそんな凄くないよ。」
「神白さんが俺のバスケ綺麗って言ってくれたみたいに…俺も神白さんのバスケ綺麗だと思ったんス!」
あっ…この笑顔
初めて入学式の点呼の時に見た笑顔だ。この笑顔を見ると木々が揺さぶられているような気持ちになる。自分でもわかるくらいみるみる頬が紅潮していく。
私にはその笑顔は眩しすぎるんだよ。
でも…
「ありがとう…」