第3章 揺らぐ心*
黄瀬side
走ってた足が急に止まって一点を見つめてる神白さん。どうしたんスか?
神白さんの顔を見た時一瞬時が止まったかのように思えた。吸い込まれる。なんスかあの目?あんな目してたんスかね?何もかも見透かしたような嘘がつけない…そんな気がする。
ー今日はもう見学だよー
ー肩怪我してるー
矢野さん、怪我してたんだ…全然気づかなかったス。だから見てたんスかね?
やっぱ神白さん、変な人。周りに興味ないようで凄く人の事見てる 。
こんな人がウチのマネージャーとかだったら良いスね!そーいえば今マネージャー3年生に一人しかいないし神白さんだったらやってくれるかも!
とりあえず笠松先輩に聞いてみるスかね〜
しっかし〜今日はバスケだから一段と歓声が凄いッスね!試合が終わってコートから出るとこの始末
ーーー
リョータカッコイイ!
メアド教えてー!
サインちょうだい!!
ーー
だいたいの女の子は皆俺が好き。俺の中身なんてどうでも良いんだ。俺の顔が好きでモデルの俺が好きで、なんでもできちゃう俺が好き。
でもあの人は違んスよね…
神白さん
まったく俺の事なんて興味なさそうだし。
キセキの世代って言ったら有名なのにそれも知らなかった。
きっとモデルやってる事も知らないんだろうな。
あんな子初めてなんスよ。
ふと、もう一度神白を見ると、さっきの吸い込まれそうな目は、もうそこにはなかった。気のせいだったんスかね…?
でも、あの子の目にはただの俺が
映ってる。そんな気がする。