第16章 好き。すき。スキ*
「お前、今日やけに集中力高いな?」
「そうかもしんないっス…」
森山先輩に、そう言われるのも間違いない。今日の俺は、今までにないくらいバスケに集中できてる。 部活が終われば、桜っちの答えが聞ける…体育館に入る前は、気持ちが高ぶってて抑えるのに必死だった。
けど…それを落ち着かせてくれたのは、やっぱり桜っちっていう存在だった…桜っちのほうを見ると、もの凄く集中してるのがわかる。一瞬目が会うと優しく微笑んでくれる…それだけで俺の精神は、一気に強くなれた…
「「「お疲れさまでした!!」」」
集中してたおかげで、時間がすぎるのがあっという間だった…部活が終わった直後、それは心を締め付けられているよな異常な感情の高まりが俺を襲う、こんな風になったのは初めてだ…桜っちに出会ってから初めての感情を沢山知った。
「黄瀬!おい!帰らねぇーのか?」
「アッ!今日、俺この後予定あるんで!お疲れさまっス!」
笠松先輩を見送って、ダッシュで体育館に向かう。
ヤッバ…ちょっと体が震えてきたかも。体育館に近づくにつれて俺の緊張はマックスに達していた…
ーダン、ダン、ダン…
暗い体育館の中からボールが弾む音が聞こえてくる…それは、凄い心地よくて、いつの間にか、いつもの平常心の俺に戻されていく感覚を感じた…
「桜っち…」
ホントに…この子は、俺をドキドキさせるのも、不安にさせるのも、怒らせるのも、落ち着かせるのも…なにもかも得意っスよね…
「黄瀬君…」
暗いから、桜っちの表情が、よく見えないけど…俺には、なんだかわかる気がする。きっとピンク色に染めた頬で少し微笑みながら俺を呼んでくれてるって…