第16章 好き。すき。スキ*
「まりな!?」
あまりにビックリしすぎて、声が裏返ってしまう…
「桜…?良いんだよ。思ってる事全部言ったらスッキリする。前もそう言ったでしょ?」
そうだった…私には、こうやって受け止めてくれる人がいるんだ。
「うん…私…嫉妬した。こんな気持ち初めて…自分が情けなくて、恥ずかしくて…かっこ悪いよね…?」
「そんな事ない…それも桜でしょ?その気持ち、ぜーんぶ!キセくんに、言わないと!」
「嫌われないかな…?」
「そんなんで、嫌いになる?キセくんってそんな人じゃないよね?」
「うん…ありがと…まりな。」
「どーいたしまして!それじゃあ、戻るよ!」
「うん!!」
私達が戻ると、もう授業は終わっていた。帰る支度をしてる人、部活に行く人、皆それぞれ準備している…
「私も部活行かないと!まりなも、行ってらっしゃい!」
「は〜い!また、明日ね!」
私も部室に向かう。
「桜っちーー!!」
こうやって私を呼ぶのは、一人しかいない…振り返ると練習着に身を包んだ彼が、走ってこちらにやって来る。
「黄瀬君…?どうしたの?!」
「ハァハァ…やっと見つけたっス!!」
「えっ…?」
もしかして…私を探してくれてたの?こんなに息切らして…どんだけ走ったんだろう?私も馬鹿だけど…この人も、とことん馬鹿だよ…
「フッフフフッ…」
「桜?どうしたんスか??急に笑いだして?」
「ううん…ごめんね。笑っちゃって…嬉しくて…」
「何がっスか??」
「黄瀬君が、私の事探してくれて…」
「あたりまえっしょ?桜っちの事、見つけられるのは…俺だけっスから!」
もう…止めてよ。恥ずかしいから…そう思ったけど、心の奥底では、嬉しく嬉しく…甘い蜜に浸っているみたいだ。
今度は、私の番だ…どう思われても私は、私の言葉で伝えるんだ。
「黄瀬君、今日…部活終って着替えたら…体育館で待ってるから。来てくれる?」
「もちろんっス!…ちゃんと行くから待ってて?」
気持ちを伝えるなら…
ここしないと思った… 。
あなたがバスケをして。
皆と信頼を築き上げてきた
体育館で…