第16章 好き。すき。スキ*
黄瀬side
桜っち…俺が瀬戸さんをおんぶしてる事に、なんの驚きも動揺もしてなかった。むしろ…もの凄く冷静だった。
「黄瀬くん…ごめんなさい。重くない?」
「大丈夫っスよ。」
「もう…大丈夫!下ろしてもらって良い?」
俺は、自分の背中から瀬戸さんを下ろす。
「ホントに、大丈夫っスか?」
「はい…」
「じゃあ、俺は戻るっスね…瀬戸さん、ごめんね。ファンの子達のせいで怪我させちゃって。」
俺は、元来た道を引き返そうとした。
「黄瀬くん!!」
「瀬戸さん…!!?」
瀬戸さんが、俺を呼び止めると思いきり抱きついてくる…
「私、やっぱり…黄瀬くんが好きです!諦めきれないの…私じゃダメかな?」
瀬戸さんの気持ちは嬉しい…でも俺は桜っちしか見えないんだ…馬鹿でも良い。アホでも良い。桜っちが好きって言ってくれるなら…なんだってできる。
「ごめん…瀬戸さん。俺、好きな子いるんスよ…」
「…っっ!そっか…それって…神白さん?」
「うん…」
「やっぱり!そうだと思った!」
笑ってるのに…目には、涙をいっぱい溜めてる瀬戸さんの顔を見てるのは、少し辛いっス…
「一つだけ教えて?神白さんのどこが好き?」
どこが好き…?いきなりそんな事言われても正直わかんねぇ…一言で表せられるもんじゃないし…実際、桜っちの事は、全部が好きだ…
「ぜーんぶっスよ…俺、桜っちの事、まだ全然知らないけど、どんな桜っちでも好きでいられる自身がある!それに、桜っちって誰かを守れる強さを持ってる。瀬戸さんも、桜っちに守られた事あるっしょ?だから…そんな桜っちを俺が守ってあげたいんス…」
「そっか…私が入る隙間なんて、全然ないね!伝わると良いね!」
「う〜ん…それは、微妙っスね。俺の一方通行だから…」
「そんな事ないと思うよ?大丈夫だよ!頑張れ!黄瀬くん!」
「うん!瀬戸さん、ありがとっ!頑張るっス!」
絶対…桜っちを、振り向かせてみる。桜っちにとってカッコイイ男になりたい…桜っちに好きになってもらいたいから…