第16章 好き。すき。スキ*
まりなさんが教室に戻ってきた。
「まりなさん!!桜っちは!!?」
「あ”ーもぅ!大きい声出さないで!大丈夫!今寝た所よ。」
「そっか…なら良かったっス」
心配で心配で自分の心が穏やかじゃない。落ち着いてなんていられない。早く桜っちの顔が見たい。
「桜の所、行ってくれば?」
「えっ!さっき俺も一緒に行くって言ったらダメって言ってたじゃないっスか?」
そう、さっき俺は、まりなさんが保健室に行くのをついて行こうとしたが…断わられた。
「女同士の話しがあったのよ!それに桜も寝てるし。それに…早く桜の所行きたくてウズウズしてるのが伝わってくる。」
「そりゃあ、そうっスよ。桜っちの事が…好きなんスから。」
「なんか、ムカつく!桜を取られた感じ!でも…アンタ良い奴だわ!桜を大事に思ってくれるから。」
「それを言うなら、まりなさんも良い人っしょ!桜っちを大事にしてくれてるんスから。」
「あたり前でしょ!そんな事より、早く桜ん所行ってきなー!」
「そうっスね!ありがとっ!まりなさん!」
桜っちの親友がまりなさんで良かったって思う。いつも一緒にいて色んな事を乗り越えてきた強い絆がある。なーんか…妬けちゃうっス。
桜っちが、起きないように静かに保健室に入る。奥にあるベットのカーテンをそぉっと開けると、小さな寝息を立てた桜っちが寝ていた…俺は、横に置いてあるイスに腰掛ける。
桜っちの寝顔…相変わらず、かわいっスね…
インターハイの時の新幹線で寝てた桜っちも可愛いかったけど、今の桜っちは、もっと可愛い。
「それ以上かわいくなってどーするんスか?」
起きないように、桜っちの頭を撫でるように触る…やっぱり髪がフワフワしてて気持ち良い…なんか桜っちの髪を触ってると眠くなってくる…それにこれ以上触れているのは、危険な気がする。
「桜っち、ゆっくり休んでね。」
桜っちの寝顔を目に焼き付けて、保健室を後にした。