第16章 好き。すき。スキ*
タイミング良く先生も生徒もいない保健室。
「良かった。一人になりたい気分だったし…」
それに、頭もボーっとするから早く横になりたい。
「桜?」
ドアが開く音が聞こえたと、同時に私の名前を呼ぶ声。
「あれ…?まりな…どうしたの?」
「ん〜別に用はないけど、キセくんに聞いたら保健室行ったって言うから様子見にきただけ!」
「そうなんだ…でも全然平気だから!ありがとう。」
「キセくん、スゴイ心配してたよ?ホントは私と一緒に保健室行くって言ってたんだけど…断った!!」
「えっ?どうして?」
いや、今は断ってくれた方が私的にも良かった。でも…どうして断ったんだろう?
「桜〜ヤキモチ妬いてどうすんの?まだ好きとも言ってないのに…」
「っ!!!」
なんでまりなは、いつもいつも私の心を読んじゃうの?私のドロドロな気持ちを知っても引かないかな?
「ほ〜ら!口で言わないと、わからないよ?」
自分の気持ちを曝け出すように話し始めると、次から次へと自分の汚い感情が押し寄せて来る。
「もう…こんな気持ち嫌だよ。私ってこんな性格悪かったんだね…?」
「桜…本当にちゃんと恋してるんだね…本気で好きになるってそうゆう事だよ!でも、その気持ち私に言うんじゃなくてキセくんに伝えないとなんも意味ないからね!」
「うん…わかってる。ありがとう…話し聞いてくれて。」
「話しくらい、いつでも聞いてあげるから!とりあえずアンタは少し寝てな!頭痛いんでしょ?じゃあ私は戻るね!」
「うん…そうするね…」
まりなが保健室から出て行くと私は静かに目を瞑った。意識が遠のく。そしてあっという間に深い深い闇の中に落ちて行った…