第15章 その瞳の正体*
「おい!そんなんじゃ俺は、抜かせねぇぞ?」
強い…やっぱり青峰君の力は本物だ…あわよくば、この瞳の力を使わなくて済めば良いと思ってたけど…この人には通用しない。
「ふぅ…」
とうとう、使う時が来た。
血管がドクドク動いてるのがわかる
私は、もう一度目を閉じた…
「お、まえ…」
「私を…倒してみてよ。」
感情が心のずっと奥深いところから湧いてきた。あぁ…この感覚久しぶりだ。
うん。大丈夫。ちゃんと使える。
「なんなんだ…動けねぇ。」
青峰君の目を捕らえる。
私の悪魔の目から決して逃げられない。
「人の動きを止める力…最初のうちは、人の体の動きで怪我をしそうな箇所や怪我をしてる場所がわかるようになった。洞察力が優れてるって皆に言われてたけど、ある日を境にその力は悪魔の目になった。」
まったく動けなくなった青峰君に語りかけながらボールを手から離しゴールへ放つ。この時だけは周りの音も一切聞こえない。まるで世界中に私一人だけになったみたいに…
「ーー桜っち!!」
えっ?…嘘。
そんなはずない…
「桜っち!」
聞こえるはずのない声が…
聞こえる?
「ーー桜!!!!」
間違えるわけない。
私が好きな声がする…
徐々にいつも通りの目に戻っていくのがわかる。
ハッキリ見えた。
辛そうな顔した黄瀬君がいる。やっぱり…この力は、見せるもんじゃなかったよね?
重なった視線をわざと逸らす。
今黄瀬君の顔を見たら自分が崩れちゃう…