第14章 一生親友＊

澪の所に行った事はバレてしまったけど…さすがに黄瀬君に告白された事はわかってないみたい。良かった…

「あっ！あとさ！キセくんと何かあった？！」

「ゴホッ！！なななんで？！！」

「いやいや…焦りすぎっしょ？大丈夫？気管に入った？」

「う、うん…だいじょーぶ。」

「それで？キセくんに何か言われた？」

「まりなって…もしかしてエスパー？」

「はぁ？何言ってんの？頭大丈夫？」

「だって！なんでもわかっちゃうじゃん！」

まりなって本当に怖い。

「いや〜アンタさぁ…わかりやすいんだよね！それに…わかっちゃうじゃんって言うくらいだからなんかあったんでしょ？」

痛い所を突かれた。まりなは、昔から私の事を見てくれていた。何かあるとまず一番に気づくのはまりなだったもんね…

「黄瀬君が…私の事好きって言ってくれた…」

「ふ〜ん。でっ？どーすんの？」

「ふ〜んって！リアクション薄いよ！もっとビックリしないの？」

「しないよ！だってキセくんが桜の事好きなんて今さらの話しだから！それで？返事したの？」

私は首を横に振った。まりなにもアホとか馬鹿とか散々言われたけど…どうしても自分の気持ちを言えなかった。

「桜は…ずるいよ。そうやっていつだって逃げて今回だけはキセくんがかわいそうだって思う。」

「わかってるよ。こんな私の事好きって言ってくれたのに…私は何も言えなかった。でも…澪の事考えるとこれ以上幸せになんてなれないよ。」

「…いい加減にしろよ。」

まりなが私の目を真っ直ぐ見てくる。その目には怒りとか悲しみとか色んな感情が宿っていた。

「アンタは…なんもわかってない。こんな私って言うけど…そんなアンタを好きなキセくんや私の気持ちはどうなんのよ？バスケ部の皆だって桜の事、大事にしてんのわかんないの？その思いをアンタの一言で全部踏みにじってのわかんないの？！！」

まりなが荒げた声を出しながら泣いている…また私は大事な人を自分のせいで泣かせてしまったの？

「ごめん…まりな…泣かないで。ごめんなさい。」

「うっ…うう。もういい。ちょっと一人にして？」



そう言われて何も言えない私は…一人屋上を後にした。