第4章 *届かない*[夜久衛輔]
「俺は好きな奴いるからいいんですー!」
「うっそ!好きな人いたの!?誰だれ!?」
「言わねーよ」
他愛のない話をしていると、赤葦がきた。
「花音さん、こんなところにいたんですか…」
「あ、京治!」
…花音の、赤葦の呼び方が変わっている。
改めて、付き合っているという事実を突きつけられる。
ズキッ と胸が痛む。
「それじゃあ、私行くね!」
「おう」
赤葦も、俺にぺこっと頭を下げて来た廊下を戻る。
…俺は、いつまでも『幼馴染』だから安心していたんだろう。
花音はずっと俺のだと思っていた。
でも、花音の瞳が他の男を写していた事に気付けなかった。
たまには男だって泣いてもいいと思う。