【Collar×Malice】Lost Memory
第2章 chapter 零
【12/5】PM10時
新宿署からすぐの通りで、私は市香を待っていた。
12月を入ってまだ日が浅いとはいえ、コートを着て手袋をしていても肌寒く感じる。
「市香、冷えてないといいけど」
呟きと共に白い息がでて、もう冬なんだなぁと考えていた。
それから10分、15分と待ったけど一向に市香の姿は見えない。
「連絡もなし……何かあったんじゃ?」
ただの予感だったけど、自分を突き動かすには十分でスマホのコールをしながら、市香を探しに走り出した。
「どこにいるのっ?」
走って走って、心当たりを潰していくも出会うことは出来ず。
嫌な予感ばかりが胸を埋め尽くす。
そんな時、スマホからメール受信を告げる通知音が鳴った。
「もしかして、市香から?!」
はやる気持ちを抑えながら画面を見ると――
《あなたの大切な人を預かりました。助けたければ、1人でここまで来て下さい》
と言った内容と……市香の写真が知らない番号から送られてきた。
普通だったら、警察に駆け込むなり、信憑性を疑うなりすると思う。
「!!」
だけど、私はそれ等の思考すらする前に、市香の姿を見た瞬間から次の行動は決まっていて。
スマホを上着のポケットに仕舞うと、一目散に指定された場所へ1人で向かった。