第1章 太陽と月
つくづく夜はお母さんみたいだと思う。
「あー椿、ご飯こぼしてる。」
『ヘ?
あー…別にいいや〜』
……いいのかよ。
「だめだよ、ホラ……」
夜が椿の頬に付いたご飯粒を取ろうと手をのばすと、さっきまであんなにベタベタしてたくせに、夜の手をはらった。
『いい……大丈夫だよ……』
椿は米粒を自分で取って、空になった弁当箱の中に入れた。
「椿?」
『なんでもないよ!』
「そう……?」
俺は椿の事が好きだから分かる。
椿は夜が好きだ。
一緒だった小学校の時から。
椿は夜をみていた。
夜しかみていなかった。