第6章 シーザー×ドーナツホール
孤独を癒せているのだろうか、寂しい思いをさせてはいないだろうか、ちゃんと…シーザーを愛せる善良な心を持っているのだろうか?
「…奏、俺達はさ」
そこで言葉を切って黙り込んでしまう。
でも、その先の言葉を知りたいとは思わなかった、いや…知りたくないと私は望んでしまったのだ。
どうしよう、突き放されたら…別れようとか、私に俺は不釣り合いだ、とか言われたら。
「えっとね、シーザー…一緒に行きたい場所が有るんだけど今から行かない?」
焦りを隠さずに私は勢いよく席を立つ、飲み物が零れてしまったが構わず私はシーザーに話し掛けた。
「ね、ねぇ、早く其処に行きたいな」
「…其処に行く前に一つだけ言いたい事が有るんだ、ちゃんと聞いてくれないか?」
嫌だ、夢なのに、夢だけでも私に良い思いをさせてよ、嫌なの…悲しみたくない、傷付きたくない。
「い、良い事? …それとも悪い事?」
「……あのな、奏、何でそんなに心配するんだ? 大丈夫だから…良い事だから落ち着いて聞いてくれ」
優しい声のトーンで震える私の身体をまた抱き締める、ごめん、ごめんね…そんな事も本人に言えない嫌な私。
「俺さ、やっぱり奏の事がー……」