第2章 クリスマス
深夜になり漸く仕事に区切りを付けたトランクスは、自室に戻りまた一人溜息をついた。
時計を見ると午前1時半。最近はこのくらいの時間になってしまうことが多い。
机の引き出しを開けると、そこにはクリスマス用にラッピングされた小さな箱が入っていた。
それを手に取り、そのまま力なくベッドに仰向けになる。
「渡せそうにないか……」
折角用意したクリスマスプレゼントはやはり当日に渡したかったが、そううまくは行かないようだ。
「ユメ……」
愛しい名を呟いた、その時だった。
視界がぐにゃりと歪んだ。
「?」
錯覚かと目を擦ってみるが治らない。
それどころか更にひどくなり、絶えられなくなったトランクスは強く目をつむる。
――そして次に目を開けたとき、そこは違う場所だった。
「ここは……?」
トランクスは寝ていたベッドからゆっくりと起き上がる。
……さっきまでいたはずの自分の部屋ではない。
今座っているベッドも自分のものではなくなっていた。
枕元にあった時計を見ると1時半を少し過ぎていた。
見回して分かったのは、どうやら女性の部屋であるらしいこと。
なんとなく気恥ずかしくなりトランクスはベッドから立ち上がる。
小さな窓を開けると、やはり知らない風景が広がっていた。
「もしかして……」
期待に胸が鳴る。
「ユメのいる世界?」
しかしユメがいない。……ユメの部屋ではないのだろうか。
と、微かに声が聞こえた。
トランクスは静かに部屋のドアを開ける。
開けた先はリビングのようだった。
だが人が見当たらない。
声は付けっぱなしのテレビからだったようだ。
しかし、確かに人の気配がある。……それも、良く知った気配……。
トランクスはゆっくりと足を進めた。
そして。
「!」
トランクスはソファで横になっているユメを見つけた。
どうしようもないほどに愛しさがこみ上げる。
トランクスはソファの前まで行き、膝をつく。
規則正しい寝息に思わず笑みがこぼれる。
だが、涙の跡に気づいてしまった。
トランクスはユメの唇にキスを落とす。
「ん……」
ぴくりと反応するユメ。
「ユメ」