第20章 砂漠の民
キャップの庇の下でカクの眉が上がる。
「私たちは私たちの為にボン·クレーが他人に頭を下げるのを望んではいない。だから、この話は誰かに潰して貰った方がいいんだ」
カヤンは肩をすくめて腕に抱え込んでいたボールの中身をトングでつついた。
「それがあなたであっても、不都合はない」
ベビーベッドから可愛らしい笑い声が聴こえてきた。パールブルーのフリルの間に小さな手がにぎにぎと遊んでのが見える。
カクとボン·クレーと一緒にそれを見ながら、カヤンは口角の鮮やかなハッキリした顔立ちに生真面目な表情を浮かべた。
「ジンの加護にある砂漠の民は誇り高い。自ら認めた訳でもない有象無象に己を左右される事を良しとしない。私たちのような子供であっても。そういう事だよ」