第15章 お茶会
「…さては子供も駱駝もみんな砂漠から攫って来よったな?海賊が陸のモンに手を出したらいかんぞ?」
「え〜?何言ってんだかよくわかんな〜い。てか、お宝っつうお宝は、みんなアチシのモンよ。それがアチシのルール。余計な口出しすんじゃないわよ、鼻」
「口出しする気はないわい。思うた事を言っただけじゃ。馬面」
「…アンタって人に口を慎めとか言える感じじゃないわよねィん、あんまし?」
「お前さんに言われる筋合いはないわい」
「お互い正直者で困っちゃうわねィん!」
「…何か違う気がするのう…」
「ねえアンタ、もしかしなくてもラビュの仕事が気になってんじゃなァい?でしょ?図星でしょ?当たりでしょ?ビイィィンゴォ!でしょ!?」
「やかましい」
そら気にならん訳ないじゃろ。得意顔で言う程の事じゃないわい。
内心苦笑してカクは首を振る。
「聞きたい事は本人に聞くわ。それが筋じゃ」
「あらヤだ!アンタも漢!?漢なの!?いわゆるお仲間ってヤツゥ?」
「わかったわかった。漢でも女でもオカマでも、もう何でもいいわい。ワシャそろそろ引き上げる。馬鹿言っとらんでお前さんも早いとこ天使とやらのとこへ帰れ」
ソマオールからキャップを返して貰わんとな。
隠しに手を入れて手紙の感触を確かめながら、カクは目を細めて水平線を眺めた。
「やれやれじゃ…」
そんなカクをじっと見詰めたボン·クレーが、やおら白いスーツの胸ポケットから紙片を取り出した。
「アチシ、まだこの町にいるから、何かあったらここに来なさいよ」
カクのティーカップの下にそれを挟み込んで、ニヤリとする。
「何もなくたって来ていいのよ?待ってるわよン、お鼻ちゃん」
カクは黙って紙片を抜き取ると、それも隠しに突っ込んだ。
「…ラビュルトのうちはいいうちじゃ。そうじゃろ?」
俯き加減にぼそりと言ったカクに、ボン·クレーはニカッと笑った。
「アンタはそう思わなかったっての?」
「いや」
「でしょ。当たりよン。エンダはまあ悪くない家族よねン」
「そうか。ならいいんじゃ」
フッと息をついてカクは頭を掻いた。
ラビュルトを連れて部屋に帰ろう。
二人で、一緒に。