第14章 北の街のジュベ
「どっちがどっちだって」
鼻のカク、か。···手間が省けたさね。
「ぶてた?」
「省けた。···お前ンちはほんとに顔が広い。面倒がなくていいや」
ジュベはにっこり笑って、ソマオールを促した。
「ほら、連れてけよ、皆ンとこに。腹減ってんだろ?」
「うん!」
北の街から来た男娼、ジュベ、その懐には一通の手紙。
宛名はカク。
差出人は、ハットリ。
五つの黒丸を繋ぐ十字が刻印されている。
五界、そして五体を統べる統一概念の象徴。五体を超えた者が居る処。
表裏背中合わせの正義の標し。
カクの故郷の刻印。