第13章 海を臨むテラス
「ね、すっごく素敵でしょ?ベンサムって最高よね。大好き」
落ち込むボン·クレーと驚き呆れるカクを見比べて、ラビュルトが面白そうに割って入った。
「···ラビュルト」
カクはいささか疲れの滲む顔でラビュルトを見た。
「何?」
輝くような笑顔にカクの肩がガックリ落ちる。
「···可愛いのう、全く···」
「盛り上がってるねえ。どうだい、タルトの味は?」
山盛りのソーセージクレープを片手にジャンが現れた。
「何だ、まだ食べてないのかい。待たずに始めろって言ったじゃないか」
「あなたがいなきゃ始まらないでしょ。美味しそうねえ、ジャン。さあ、座って。お給仕は私とラビュがするわ」
マリィが背を伸ばしてジャンの頬にキスした。
「お茶にしましょう」