第11章 丘の上のエンダ邸
「あのね、ラビュ」
ソマオールがラビュルトの袖を引いた。腰を屈めた姉の耳に口を寄せ、手を添えると、大きな声でひそひそ話をする。
「ジュベが来てるよ!ジュベも一緒に行っていい!?」
「ええ!?ホント?ジュベが?ブ・・・ッ、アハハ、そうかそうか。それはいいわね。じゃ、ジュベに一緒に行くか聞いておいで。その間にお話すませちゃうから」
可笑しそうに肩を揺らしながら、ラビュルトは妹の小さな背中を押してやった。
ソマオールは元気よく頷いて屋敷に駆け出した。
「・・・ジュベ?」
まだ可笑しそうに笑っているラビュルトにカクが訝しげな目を向ける。
「後で紹介するわ。・・・誤解しっ放しなら紹介する筈だった相手な訳だし。くくッ」
「何の事じゃ?」
「だから後で。さあ、行こう」
ラビュルトがカクに手を伸ばした。
「先ずは改めて、父さんと母さんを紹介するわ」