第4章 目合いーまぐわいー
触れる毎に返って来る反応が不思議で愛しくてならない。男が女を求める気持ちが初めてわかった気がした。
高級娼婦がどういうものなのか、カクは詳しく知らない。
人を金で購う行為への理解や興味が、そもそもカクの頭になかったからだ。
もし。
ソバカスの散ったラビュルトの胸元に顔を埋めて、カクは沸き立った頭の隅で思う。
もしさっきこいつが、ワシに褒められて喜ばなかったら、ワシは金や恩に飽かせてこいつを抱いたじゃろうか。
昨日の今日で、肌を触れあわせて目合う不思議。この日まで動かなかった気持ちが突然動き出す不思議。
それは金や恩で手に入るもんじゃろうか。
指先が柔らかい襞の中に埋まる小さな塊を探り当てた。指の腹で擦ると締まった腰が持ち上がり、絡められた足の輪がぎゅっと狭まる。
わからん。じゃが、違うと思いたい。
大きな掌で椀を伏せたような胸を揉みながら、カクはラビュルトの顔に見惚れた。
カクの手や舌で甘く喘ぐ可愛いラビュルト。
指を上下に滑らせ、ツンと立った乳首を口に含む。
「あッ、はぁ・・・あ・・・んッぅ・・・!」
滾りきった股間に痛いように血がドクドクと巡っているのがわかる。
ラビュルトの足がゆるりと開いた。
カクの腰がその隙間に滑り込む。
濡れて熱い窪みに触れただけで、怒張したものが精を吐き出しそうになった。
堪えきれずに一息に腰を沈める。
「ぁあッ、や・・・・・・あ、は・・・あぁ・・・ッ」
細く甲高い声をあげ、顔を背けて唇を噛みしめたラビュルトの耳元に口を寄せる。
薄荷と汗の匂い。ラビュルトの中で更に自分がいきり立つのを感じた。
「ラビュルト・・・ワシャ、お前さんが、好きじゃ」
ラビュルトが目を開いた。灰色の瞳が熱と涙でうるんでいる。
「・・・カク・・・アタシも・・・アンタが好き・・・ッ、あ、ああぁッ」
灰色の中にトネリコが閃くのを見止めた刹那、一度目の、初めての精が吐き出された。