第25章 パートナー(仮)
立ち回りを考えねばならない。
この只者でない見知らぬ男に、ただただ引き摺られる訳にはいかない。どうすべきか。
「ま、気楽に考えてくれりゃいい。オメエは自分で思うよりここらじゃ顔だ。オメエがここでの俺の代理人になってくれりゃ、俺としても楽でいい。他を探すのも面倒だしよ」
「私はただの娼家の主です。あなたの言うような…」
「謙遜も過ぎたら嫌味だぜ?早いとこ行ってひと仕事して来い。ラビュルトと連るんでんのはアブサロムってヤツだ。アイツがこの町にカジノを作るお大尽て訳だ。このパーティでカジノの話をお披露目する手筈になってる。アイツはテメエら一家たァ顔馴染み。ツーカーの仲だ。反対するようなヤツがいたら、テメエが何とか宥めてくれるよな、親しいアブサロムの為に。な?そうだろ?」
楽しそうに言うドフラミンゴにジャンは呆れ顔をした。
「私への仕事の依頼は初めてですよ」
「そらァ良かったな。何事も経験だぜ?なぁ、エンダ」
ジャンを爪先で押しやって、ドフラミンゴはドアに顎をしゃくった。
「……私はそんなに器用じゃありません」
溜め息混じりに言ったジャンに、ドフラミンゴは凄い顔で笑って見せた。
「なァに、問題ねえよ、エンダ。オメエの下の娘が俺ンとこに遊びに来てる。今頃ァ俺のファミリーがオメエのちっさな娘と遊んでやってるぜ。帰りは一緒がいいだろ?まあテメエ次第じゃ娘に長居して貰っても一向に構やしねえけどな、俺は」
ジャンの目色が変わった。
ドフラミンゴはますます大きく口角を引き上げた。
「ソマオールってったか?随分な姉さんコみてえじゃねえか。微笑ましいな、え?ラビュルトにゃ似ても似つかねえ娘だが、そいつが何故だか、事のついでに話してやるのも悪かねえな。どうだ?やる気が出たんじゃねえか、エンダ?」