第70章 デリバリーサンタ 一松
一松視点
——ずりずりずりずり
おれは夜道をずんずん進む。
赤鼻をつけた十四松トナカイのソリに乗り…。
いや、ソリが準備出来なかったから、とりあえずリヤカーを代用した。
あーメンドくさ。
クリスマス?サンタ?キリストが生まれただぁ?
おれが…宇宙の塵だった時に生まれた人の誕生日祝うとか…みんなよくやるよね。
まぁ、今も塵のような存在ですケド。
「大体、なんでおれがサンタなんか…」
「どーすんの?やめるーー?」
「……」
そう言いつつも、紫のサンタ服に着替え、リヤカーにはプレゼントを入れた袋…。
「やめんのー?」
「——アイツんちまで……よろしく」
「わかったーー!」
十四松トナカイは、リヤカーを引くスピードを上げた。