第63章 ※月松 300拍手御礼話
目を覚ますと、隣にいた一松くんがいなくなっていた。
生理痛がピークの時に一松くんが遊びに来て、随分心配かけてしまった。
痛がるわたしを見てすごくわたわたしていたし、珍しく素直に「大丈夫?」なんて聞いてきて、添い寝をしてくれたのだった。
思い出すと、一松くんが可愛くて身悶える。
たまにはああいうのも悪くないかもなんて思ったり…。
(っと、一松くんが待ってるだろうから、もう起きないと)
ベッドから降り、ドアの隙間から灯りの漏れるリビングへと向かった。
・・・
「おいしーっ!」
「……」
リビングに行くと、残り物のカレーとごはんを使って、カレーおじやを作ってくれていた。
相変わらず無口で膝を抱えて座っているけれど、わたしには分かる。
これはきっと、喜んでいる。
「本当にありがとう!でも、一松くんが料理出来るなんて知らなかったなぁー、よくIH使いこなせたね?」
「……バカにしてんの?」
「し、してないしてないっ!!ごめんっ!」
彼なりにわたしを労ってくれているのが伝わって、胸がじんわりと温かくなった。
「……もう、痛くないの?」
「うん!薬が効いてるし、眠れたのがよかったのかも」
「へー…」
「一松くんは食べないの?」
「……」
無粋な事を聞いてしまった。
チラリとキッチンを見ると、ごはんもカレーも空っぽになっていた。
1人分しか残っていなかったのに、私のために用意してくれていたようだ。
「ごちそうさまでした」
「……お粗末様でした」
お皿を持って立ち上がる。
「パスタ作るから、よかったら食べてって?」
「でも…お前、休まないと…」
「一松くんのおかげでもうすっかり良くなったから。テレビでも見て待っててね?」
去り際、一松くんの頬にそっとキスを落とすと、無表情のまま耳まで真っ赤になった。
「べ、べつにいらない……もう帰るっ!」
「だーーめっ!!」
——結局、帰るといいつつ、夜通し添い寝をしてくれた一松くんなのだった。
四男の場合 fin