第62章 ※おそ松と何気ない日常を過ごしたい時に読む話
二人きりになったので早速指を絡ませる。
「おそ松くん、どこに行くの?」
「映画…気に入ったんだろ?」
主ちゃんはポカンとしながら頷く。
「——六本気の、麻縄カフェ連れてってやる…トド松が言ってたとこ」
その一言で、主ちゃんの顔がみるみる赤くなり、ぱぁっと眩しい笑顔になった。
笑顔を見せたかと思ったら、今度は人目も気にせず抱きついてきた。
「おー随分積極的じゃん?」
「あのね…」
「ん?」
「今朝…等価交換って言ってたけど、一回しただけじゃ足りないくらい幸せ…」
照れながら真っ直ぐ俺を見つめてきた。
(そういえば、テキトーな理由つけて朝ヤッたんだった)
なんて言ったら怒りそうなので黙っておく。
「じゃあ今度一日中セックス確定な」
「え?冗談だよね?」
「うーし、今日からオナ禁一週間がんばろー」
「あの…ち、違うの!さっきのは、ここ言葉のアヤって言うか…」
急にどもりだす主ちゃんの手を引いて、俺は赤塚駅の改札を通った。
映画みたいな大恋愛もいいけどさ、俺はお前と過ごす何気ない日常が大好きなんだ。
主ちゃん、お前も俺と同じだよな?
出会いのきっかけなんて、ダサくてもカッコ悪くてもカンケーない。
お前と出会えたこと、それだけ。
それだけで俺は——。