第60章 チョロ松とオコタみかんしたい時に読む話
「おにいちゃんも、今だけ甘えさせてよ」
消え入りそうな声で呟き、わたしの膝に頭を乗せたまま、身体をくの字にして寝転がった。
そうだよね。
「真ん中のチョロ松くんも大変だけど…一番上のおそ松くんだってがんばってるんだもんね」
背中トントンをおそ松くんにもしてあげると、気持ちよさそうに目を閉じ寝息を立て始めた。
左でピトッとくっついて眠るチョロ松くん。
右には膝枕されながら丸まって眠るおそ松くん。
(わたしには分かるよ。六人みんながみんなを好きだってこと…)
二人の温もりに包まれ、瞼がだんだんと重くなってゆく。
(きっと大丈夫…これからも、みんな仲良くやっていける…よ…)
腕を枕にして、目を閉じる。
(おやすみ…なさい)
そのままわたしも、夢の世界へ意識を飛ばした。
・・・
三男が目覚めた時——おそ松の頭が、なぜか主のスカートの中に侵入していた。
その光景に、我を忘れ怒り狂う三男坊。
これがのちに、松野家に語り継がれる事となる、
「チョロ松の乱」
である——。