第57章 トッティとドキドキしたい時に読む話
ボクの周りを、街のイルミネーションよりギラギラ光る電飾松兄さんが飛び回っている。
黄色の豆電球が全身に散りばめられていて、眩しいことこの上ない。
「トッティーイーディー!!」
「EDじゃねぇよっ!!??」
(あぁぁぁあーーっ!!今度は男子にとって繊細な単語叫んじゃったあぁぁぁあ!!)
「ちょっとトッティ…こんな洒落乙な場所でEDとか言わないでくれる?主ちゃん困ってんだろ」
「誰のせい!?」
バカ松兄さんにイライラして唇を噛みしめると、力が入り過ぎて唇を噛み切ってしまいそうになった。
「おそ松くん、いーで」
「言わなくていい!!言わなくていいからっ!!」
ボクは必死に主ちゃんを止めた。
チョロ松兄さんがオドオドと主ちゃんに話しかける。
「ご、ごごめんね主ちゃん!うちの兄弟がげ、下品極まりなくて!」
「い、いえ…わたし、いまいち意味がよく分からなくて…」
「みてみてー!!エレクトリック!!」
「あはははっ!!すごいね十四松くん!ビッカビカで目がチカチカ!」
よかった。十四松兄さんの奇行がEDから話題を逸らしてくれた。
てかホント前から不思議なんだけど、どうして主ちゃんはコイツらが平気なの!?
ボクらの周り、明らかに人が避けて通ってるのにさ…。
——そうか、ボクの彼女は人ではなく天使だったのか…。